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情報フラグ
電子行政

サービスデザイン思考によるサービス・業務改革(BPR)を進めよう

掲載日

 行政による国民、企業に向けたこれまでのサービスは、必ずしも利用者のニーズに沿っているとは言えないものがあります。この状態から脱却するために、「デジタル・ガバメント推進方針」(平成29年5月30日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定)においては、利用者中心の行政サービス改革推進の考え方として、「サービスデザイン思考」を取り入れるとしています。


 「サービスデザイン思考」とは、サービスデザインを進めていくに当たり、概念や方法論などを整理したものなのですが、これはどういうことなのでしょうか?ちょっと言葉を2つに分けて考えてみましょう。


サービスってなに?

 まず、行政による「サービス」についてです。ここでは、公共サービス基本法(平成21年法律第40号)第2条に規定する公共サービス及びそのサービスに係る業務を実施する職員等が業務を円滑に行うための仕組みと定義します。簡単に言えば、国民生活の安定と向上のために、国や地方自治体等が、国民や企業に対して何かをする、といった行動そのもののことです。


デザイン思考ってなに?

 次に、「デザイン思考」についてです。「デザイン思考」とは、サービスやビジネスを構築する際に、デザイナーがデザインを行う際の進め方や考え方を適用していこうというもので、主観を重視し、利用者中心に考えていきましょうというものです。「サービスの利用者」がどのように振る舞い、どのように考えているかを理解した上で、利用者体験全体をデザインする必要があります。

 また、まずは作って試してみようというのも特徴です。もし作ったものに問題があっても、そこを修正してさらによいものにしていけばよい、という考えです。最初から100点満点のサービスが提供できればよいですが、なかなかそうはなりません。例えば、まずは60点のサービスを提供し、次に残りの40点に対して60点の改善を行えば84点となり、次に残りの16点に対して60点の改善を行えば93.6点となります。60点であっても、それを繰り返すことで高得点となります。まずはチャレンジし、次々に改善をしていこうということです。


サービスデザイン思考ってなに?

 このように言葉を「サービス」と「デザイン思考」に分けて考えましたが、整理してみましょう。「サービスデザイン思考」とは「サービス」+「デザイン思考」であり、「サービスの現状における課題を、デザイン思考を用いて解決しよう」ということです。

 サービスが目的どおり機能し、利用者に満足してもらうためには、提供者の視点で用意した手続を利用者に「使わせる」のではなく、サービスの受け手側の立場を考慮した調査・分析から得られる利用者の「本質的なニーズ」に基づき、サービス・業務を設計・開発した上で、利用者に「使っていただく」という意識、これが「サービスデザイン思考」です。

 「サービスデザイン思考」によるサービス・業務改革(BPR)は国際的な潮流にもなってきています。


サービス設計12箇条

 「サービスデザイン思考」を用いるためには、具体的にどのような考え方が必要になるのでしょうか。「デジタル・ガバメント実行計画」(平成30年1月16日eガバメント閣僚会議決定)では、プロジェクトを成功させ、利用者中心の行政サービスを提供するために必要となるノウハウを、「サービス設計12箇条」として示しています。

 12箇条それぞれの内容は、「デジタル・ガバメント推進方針」(平成29年5月30日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定)におけるサービスデザイン思考を具体化したものであり、これまでの電子行政の取組から得られたノウハウをベースとしつつ、サービス・業務改革(BPR)に関する近年の国際的な動向を取り入れたものです。この考え方を踏まえ、各府省はサービス・業務の見直しと抜本的な改革を進めることとなります。

〈サービス設計12箇条〉

第1条  利用者のニーズから出発する

第2条  事実を詳細に把握する

第3条  エンドツーエンドで考える

第4条  全ての関係者に気を配る

第5条  サービスはシンプルにする

第6条  デジタル技術を活用し、サービスの価値を高める

第7条  利用者の日常体験に溶け込む

第8条  自分で作りすぎない

第9条  オープンにサービスを作る

第10条 何度も繰り返す

第11条 一遍にやらず、一貫してやる

第12条 システムではなくサービスを作る

 「サービス設計12箇条」に関する、より詳細については、「サービスデザイン実践ガイドブック」に掲載しています。


サービスデザイン実践ガイドブック

 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室では、行政機関に向けに、サービスデザイン思考によるサービス・業務改革(BPR)を進めるため、その基本的な考え方とペルソナ、ジャーニーマップといった手法を案内し、実践的に行うことができるようにした参考書を、「サービスデザイン実践ガイドブックβ版」として公開しています。是非ご活用ください。

 ➢サービスデザイン実践ガイドブック PDF DOCX

 ➢別添1 サービス設計12箇条確認ポイント PDF DOCX

 ➢別添2(参考)サービスデザインツールの紹介(一例) XLSX


コメント

三重県伊賀市広聴情報課森です。サービスデザイン思考が大切だと考えており、学びたいと思いますし、若手職員のみなさんに学んでいただきたいと思います。このような考え方を身につけるためのワークショップ等はございますでしょうか?