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情報フラグ
電子行政

良事例の横展開に向けた1つ1つの取組み

掲載日

教科書的な知識ではなく、実務的な経験を共有することって、なかなか難しいですよね。

IT総合戦略室でも、まだまだ十分とは言えませんが、この難しい課題に対して1つずつ取組を進めているところです。

例えば、コスト削減の取組についてです。政府では、「約4,000億円の情報システム運用等経費について、2021年度を目途に3割減」という目標のもとでコスト削減活動を進めていて、その進捗状況を「IT DASHBOARD」で公開しています。

 

(参考)運用コスト削減状況 IT DASHBOARD

http://www.itdashboard.go.jp/Statistics/costReduction#200


実は、この活動の裏側では、各システムの担当者が工夫を凝らして実践してきた経験や知恵を整理した上で、全省へ共有しています。具体的には、以下の図に示 すようなコスト削減観点(ハードウェア・ソフトウェア、アプリケーション、運用業務等)毎に、着目すべき内容、取組検討方法、参考指標等を整理し、さらに 実際の事例として各省で取り組んだ事項の概要を紹介しています。毎年、お互いに意見交換などを通じて、見直しも行っております。


 

各省に共有している実際の内容をご紹介すると、冒頭の部分はこんな感じになっています。

各省向けなので、少し固い表現になっていてすみません。ですが、どの点も実際のコスト削減活動の中では重要と考えています。

 

① 前提となる事実、実績を正確に把握すること

  •  業務量、ハードウェア・ソフトウェア等の使用状況、各種システム関連作業の実績工数等、現時点の状況を事実、実績として正確に把握すること。
  • 実績の把握にあたっては、合計値や平均値といった全体傾向だけを把握するのではなく、データのばらつき、ピーク特性、時系列での変化傾向、利用者別や拠点別等の詳細内訳等、詳細なデータに基づく分析を通して、発生している問題点をつかむこと。

② 委託事業者任せにせず、コスト構造を自ら把握すること

  •  ハードウェア・ソフトウェア等の詳細内訳を把握するだけでなく、各経費項目間の関連性を含めた詳細なコスト構造を、職員自身が理解すること。                                   (例)サーバのCPUを1つ減らすと、ハードウェア・ソフトウェアの借料・保守料等が全体と していくら減額できるかを把握する
  • 委託事業者が作成する資料だけでは本質的な問題に切り込めない可能性があるため、委託事業者が提示する資料に基づいて職員自身が分析を行い、不足する情報を補うこと。

③ 情報システム部門だけでなく、制度所管部門、業務実施部門等も巻き込むこと

  •  抜本的なコスト削減を実現するためには、業務要件を踏まえつつ、機能要件、非機能要件(信頼性、性能等)を必要かつ十分な範囲に切り詰めることも必要となるため、情報システム部門だけでなく、制度所管部門、業務実施部門等の関係者を含めた全体調整を行うこと。
  • このような全体調整を円滑に進めるため、組織全体の責任者が各部門へ適切に指示すること。

 

コスト削減だけではありません。遠藤政府CIO自身による度重なるヒアリングを経て、サービス向上、業務効率化、システム改善を図った事例等について、政府内で横展開する機会をつくり、職員向けの研修等を実施しています。
どの事例にも共通した重要なポイントとなっているのが、事実を正しくつかむことです。

・利用者からの問合せ内容を分類すると、どのような問合せが多くなっているのか
・利用者にどの程度の待ち時間が発生しているか、どこがボトルネックとなっているのか
・各現場で業務の実施方法に違いがないか、または制度や内部ルール自体に違いがないか
・業務量はどのように変動しているのか、その理由は何か
・システムのリソース使用率はどのように変動しているか、ピークを分散できないか

文字にしてしまうと、どれも当たり前のことに見えてしまうと思いますが、実際の日常業務の中ではこれらのことをつい見過ごしてしまうことがあります。です ので、職員向けの研修等の中では、問合せの管理台帳やシステムログ等を分析した実際の事例に基づいて、事実を正しくつかむことの重要性を説明しています。

とはいえ、まだまだこのような取組を始めたばかりです。千里の道も一歩からで、今後も様々な事例について事実に基づいた問題対策を検討しながら、そこで得られた経験を横展開できるように努めていきたいと思っています。