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社会の基本データを整備する
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官民データ活用推進基本法が2016年12月8日に成立してから一年になります。この中核になるのがデータの標準化です。そこでこの1年間、データ標準化について環境整備を強力に進めてきました。まずは体制です。急速に変化するデジタル化に対応するために、専門家である政府CIO補佐官を中心とするデジタル・ガバメント技術検討会議を設置し、その中にデータ・タスクフォースを設置しました。このタスクフォースでは、これまで進めてきた共通語彙基盤や文字情報基盤の取り組みなども含め、データ標準をどのように行政機関で整備し提供していくかを検討してきました。
7月には、マスターデータ等の行政運営に必要となる基本データを設計するためのガイド、データを扱うためのコードを適切に管理するためのガイド、使いやすいAPIを作るためのガイドをβ版として公開しています。
・行政運営基本データ設計・運用実践ガイドブックβ
・コード(分類体系)設計・運用実践ガイドブックβ
・API設計・運用実践ガイドブックβ
(上記ガイド類はこちら)
ここで「β版」という行政機関では聞きなれない言葉が出てくるのに驚く人がいるかもしれません。「β版」とは、ほぼ完成している成果物を公開し最終評価と微修正を行うバージョンのことです。β版を公開し正式版にする手法は、ソフトウェアの開発などで従来から使われてきましたが、最近ではデジタル・サービスの世界でもよく使われる手法です。利用者の声を開発に反映するために、アジャイル手法という繰り返し開発手法を導入するとともに、β版を用いて最終的に利用者に確認してもらうことで、成果物やサービスの完成度を高めます。多くの先進国で新規行政サービスやサービス改善のために、この手法が活用されています。
こうした取り組みの中でも特に最近集中して取り組んできたのが行政データ連携標準(仮称)です。この標準は、社会の基礎的なデータを連携するときのデータ形式に関する標準を定めるものです。もちろんISOやJISを基本とします。行政データ連携標準(仮称)では、これらの基準を補完する詳細を決めています。例えば日付の表記は、IS8601で、基本形式YYYYMMDD、拡張形式YYYY-MM-DDと2種類が選択できます。しかし、システムを連携するときやオープンデータで一覧表にするときにこれらが混在していると使いにくいので、行政のデータは拡張形式YYYY-MM-DDを使おうというものです。ちなみに、共通語彙基盤ではデータ項目の整備をしていますが、その項目内のデータ形式について詳細に定義するものです。
このような標準は、きちんとしたポリシーに従い整理していく必要があります。そこで、以下の原則で検討しています。
1.本標準は、日本工業標準及び国際標準に準拠し、行政のデータ連携のために補完するものである。
国際標準、国内標準、デファクト標準等を参照して整備する。
2.本標準は、データ連携のための技術標準であり、印刷や画面での表現を制約するものではない。
3.本標準は、既存、新規を問わず情報システム内のデータに制約を与えるものではない。
データ連携時に必要な標準であることから、情報システムの新規開発、情報システムの更改時に内部データに
も本標準を使うことで相互運用性の高いシステムを構築することが可能である。
組み込みシステム等の機器の制約や処理の高速性が重要なものは独自データ形式のほうが良い場合もある。
4.本標準は、データがグローバルに流通することを前提として設計される。
5.本標準は、政府内の所定の手続きを経て制定することとする。
デジタル・ガバメント技術検討会議で審査後、CIO連絡会議で審査の上、決定。
現在進めている行政データ連携標準(仮称)(DESA : Data Exchange Standard for Administrations)は以下になります。オープンデータで必須であることから選定をしています。
➢ 日付時刻
➢ 住所
➢ 郵便番号
➢ 地理座標
➢ 電話番号
➢ 施設コード
※これらガイドの最新バージョンについては、以下のリンク先を参照してください。(平成29年12月22日追記)
また、行政データ連携標準(仮称)ガイドブックαは、検討の初期段階にα版として公開します。「α版」とは、基本形ができたところで公開し先進ユーザに使ってもらうことで内容を精査するバージョンです。その検討を経てβ版になり、その最終評価を経て正式版となります。但し、今回の資料はα版とはいえβ版に近い仕上がりになっております。今後、データ・タスクフォースで検討を深めたうえで、前出のデジタル・ガバメント技術検討会議で技術的な確認を行い、β版として各府省の確認を経た後、正式版として公開していく予定です。
評価コメント、追加する標準候補等、忌憚のない意見を寄せていただきますようよろしくお願いいたします。