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標準ガイドライン大幅改定の概要と執筆チームの思い

掲載日

 2019年2月末に、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」の内容を改定しました。

 「ん?」「ところで、そもそも、標準ガイドラインって・・何?」、、、という方が大半だと思います。

 標準ガイドラインとはどのようなもので、なぜ今回大幅な改定を行ったのか、そのポイントを簡単にご説明します。


 標準ガイドラインとは、一言で言うと、政府(各府省庁)が情報システムを作る際のルールを示したものです。

 ただ、このように定義してしまうと、情報システムを作ることだけが目的化して、何のために情報システムを作るのかという真の目的が薄れてしまう恐れがありました。そのため、標準ガイドラインの正式名称については、過去の改定の中で少し変更しています。


 ・ 2014年12月(初版) 「政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン」

 ・ 2018年3月(改定)  「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」


 もちろん、名称だけではありません。標準ガイドラインの中で示したルールや手順は、情報システムを作ること自体ではなく情報システムを作ることによって、利用者が実感できる効果を達成することに重点を置いています。そういった活動の集大成で、デジタル・ガバメントを推進することができると考えています。

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 なお、今回(2019年2月)の改定までは、標準ガイドラインは二部構成としていましたが、今回の改定では三部構成としています。従来の「実務手引書」は、ルール解説部分と参考部分が混在していましたが、それぞれを「解説書」、「実践ガイドブック」として独立させました。

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 それでは、それぞれのドキュメントの内容について、少しご紹介しましょう。


標準ガイドライン(本編)について

 ▶本編のダウンロードは、こちらからお願いします。


 本編は、政府で情報システムが関係するプロジェクトを実施する際のルールを示したものです。

 第1編(総論)では、標準ガイドラインの目的、体系、適用対象等について記載しています。

 第2編(ITガバナンス)では、政府CIO、各府省CIO、各府省副CIOを筆頭としたガバナンス体制の中で、各府省単位のPMO(Portfolio Management Office)が、様々なプロジェクトを実施するPJMO(Project Management Office)を管理するためのルールや手順を示しています。

 第3編(ITマネジメント)では、基本的に主語がPJMOです。プロジェクトの管理、企画、調達、開発、運用といったプロジェクトの実務の中でのルールや手順を示しています。


 下の図を使って説明すると、中段のITガバナンスの部分を第2編で、下段のITマネジメントの部分を第3編で示していることとなります。

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 なお、標準ガイドラインの対象範囲についてよくご質問をいただきますが、このルールの対象は分かりやすくいうと政府(各府省庁)における情報システムが関係するプロジェクトの全てです。ただし、例外規定等もあるので、正確な定義については、第1編第3章の適用対象をご覧ください。


解説書について

 ▶解説書のダウンロードは、こちらからお願いします。


 本編はルールであるため、その内容については各府省と事前合意を形成した上で、各府省のCIO等で構成するCIO連絡会議で正式に決定しています。

 一方、解説書と、この後で説明する実践ガイドブックは、ルールではなく参考文書という扱いにしています。この内容については、政府CIO補佐官を中心として構成しているデジタル・ガバメント技術検討会議で決定した上で、IT総合戦略室が公表しています。

 また、解説書と実践ガイドブックは、本編の第3編(ITマネジメント)の部分に特化した補足説明となっています。つまり、PJMOの視点で実際にプロジェクトを進める中で必要になることを具体的に説明しているという位置づけです。


 解説書の中では、本編(第3編)の全ての記載について、分割して掲載しています。そして、特に解説が必要な部分に下線を引き、それぞれの箇所に対して解説を記載するという構成になっています。

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実践ガイドブックについて

 ▶実践ガイドブックのダウンロードは、こちらからお願いします。


 実践ガイドブックについても、参考文書という扱いです。

 実は、この実践ガイドブックこそ、今回の改定の目玉になる部分です。非常に平たく言ってしまえば、ルールとしての無機質で面白みのない部分は本編や解説書に任せておいて、実際のプロジェクトで役立つような生々しいノウハウ、進め方、注意点、ひな形等を、なるべく面白く、そして分かりやすくまとめようとしたドキュメントです。実例についても、具体的な案件名称までは書いていないものの、成功または失敗の要点が分かるようなものを数多く載せています。また、失敗例や成功例もあります。

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 実践ガイドブックは、全体で350ページほどのボリュームになりました。結構、細かい文字で書いているので、全部読み通すと10時間くらいはかかるでしょうか・・。

 ただ、このドキュメントを最初から最後まで読み通していただくことは、あまり想定していません。むしろ、プロジェクトの実務を進める中で、自分自身が置かれた状況に応じて、必要な箇所だけを辞書的に読んでいただくような使い方を想定しています。

 そのような読み方ができるように、最初の第1章の中に、以下のようなチェックシートもつけています。例えば、これから新しい企画を立てようとする際には、「1 新サービス企画時のチェックリスト」を眺めてみて、気になる部分があれば実践ガイドブックの該当部分を読んでみてください。

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 実践ガイドブックの中には、プロジェクトを進める中で実際に苦労して成果を出したからこそ書ける生きた教訓を入れています。教訓の説明に当たっては、知識として読み進める形というよりも、読者自身が過去に実際に発生した事象を追体験して、その中で1つでも気づきを得ていただくことを目標としてきました。

 この教訓の使い方として、2つの方法を想定しています。

 1つは、まさにプロジェクトを推進する担当者の視点で、その担当者が必要な実務に役立つ知識を得て、直接的に業務に活用することです。

 もう1つは、教訓として書いていることを追体験していただき、その内容を「知識」だけではなく「知恵」として吸収し、様々な分野に応用することです。プロジェクトを進めるために、どこまで視野を広げた検討が必要なのか、どこまで細かい粒度での検討が必要なのか、どのように既に存在するノウハウを取り込んでいくのか、そのような着眼点を知恵として吸収すれば、様々な分野に応用可能だと考えています。

 特に後者の意味で、各府省のCIO、副CIOを初めとする幹部職員の方にも、実践ガイドブックをぜひ読んでいただき、組織全体のガバナンスを高めることに活用していただければと考えています。

 また、民間企業の方、自治体の方、その他様々な分野で活動されている方々にとっても、自身の携わる業務の見直しについてヒントになる事項がきっと見つかるはずなので、手に取ってご一読いただければと考えています。


標準ガイドライン群について

 ▶標準ガイドライン群全体は、こちらにまとめています。


 標準ガイドラインの中心となるのは、今ご説明した本編、解説書、実践ガイドブック3つのことで、関係者は三部作と表現しています。これらのドキュメントでは、プロジェクトの管理、企画、調達、開発、運用といった全般的な観点から記載を行っています。

 一方で、個別のテーマについても言及が必要なことがあります。クラウドサービスをどう扱うか、Webサイトのドメインをどう扱うか、Javaのサポートポリシー変更にどう対応するか、といったようなテーマです。このような個別テーマまで標準ガイドラインに組み込んでしまうと、記載が冗長になるだけでなく、ドキュメントの決定プロセスが重たくなって機動的にドキュメントを公表できないといった事態になりかねません。

 そのため、標準ガイドライン「群」という仕組みを整備しています。個別テーマに関するドキュメントについては、標準ガイドライン本体とは別立ての構成とした上で、標準ガイドライン群の中に組み入れるという形をとっています。

 また、このような個別テーマのドキュメントについても、ルールとすべきものと、参考文書でよいものが存在します。ルールとすべきものについては「標準ガイドライン附属文書」という扱いにして、CIO連絡会議で正式に決定しています。一方、参考文書でよいものについては、政府CIO補佐官を中心として構成しているデジタル・ガバメント技術検討会議で決定した上で、IT総合戦略室が公表しています(参考文書の内容に応じて、実践ガイドブック、技術レポート等の名称をつけています)。


今後の改定について

 今回、新規に作成した実践ガイドブックを含めて、まだまだ内容に不十分な点が残っていると認識しています。実践ガイドブック第4章の中にも、「一遍にやらず、一貫してやる」、「何度も繰り返す」といった考え方を説明していますが、ドキュメントの作成も同じだと考えています。一度作りきって終わりではなく、こまめに成果を公表して、その成果に対するフィードバックを受け止めながら、次の成果につなげていきます。このように、標準ガイドラインの改定についても、今後も継続的に進めていきたいと考えています。


謝辞

 今回、標準ガイドラインの三部作をまとめるのに、1年半の月日を要しました。

 政府の文書において、身内を含む関係者への謝辞を記載することにためらいがあり、ドキュメントの中には謝辞を記載しておりませんが、このブログの場を借りて感謝を示させてください。

 改定するに当たり、最も参考にさせていただいたのは、政府における実際のプロジェクトです。プロジェクトで発生する様々な困難に打ち克ち、後世に残る成果を残していただいた職員の方々、そしてその活動を支えていただいた事業者の方々に心から敬意を表します。また、標準ガイドラインを大幅改定することの趣旨をご理解いただき、現場でのノウハウ、知見、ドキュメント等を惜しみなく執筆チームに提供いただいた各府省のPMO、PJMO等の方々に深く感謝すると共に、専門分野の観点から様々な助言をいただいた政府CIO補佐官等の方々にも深く感謝いたします。

 また、ドキュメントの方針、論点出し、構成決定、最終校正等はガイド・タスクフォースとIT総合戦略室の職員を中心に行いましたが、実際の執筆作業はピースミール・テクノロジー株式会社の方々に全面的にサポートしていただきました。この場を借りて御礼を申し上げます。

 標準ガイドライン、特に実践ガイドブックに記載した様々な教訓や考え方は、遠藤紘一IT総合戦略官(前政府CIO)からいただいた助言がその根幹となっています。また、三輪昭尚政府CIOからの厚いサポートの下で、標準ガイドラインの改定を完成させることができました。普段は直接感謝をお伝えしにくいので、この場でこっそりと感謝をお伝えいたします。


 デジタル・ガバメント技術検討会議 ガイド・タスクフォース 一同

コメント

大変参考になる資料の公開ありがとうございます。

以下の部分に誤記がありましたので、
念のためご連絡させて頂きます。

実践ガイドブック 別紙
運用報告書テンプレート例
第8章 リスク・課題の発生と対応状況
誤)運運用実施要領の~
正)運用実施要領の~

実践ガイドブック

コメントを頂きありがとうございます。
ご指摘のように運用報告書に誤記がありましたので、
次回の改定タイミングで、修正させて頂きます。
ご丁寧に教えていただき、ありがとうございます。

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