第1編 総論

デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン

- サービス・業務改革並びに政府情報システムの整備及び管理について -

各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定

〔標準ガイドライン群ID〕
1001
〔キーワード〕
サービス改革、業務改革、BPR、政府情報システム、ITガバナンス(組織体制、計画管理、IT人材管理、予算管理、執行管理、情報資産管理、ドメイン管理、システム監査管理、プロジェクト検証等)、ITマネジメント(プロジェクト管理、予算、要件定義、調達、設計・開発、業務運営・改善、運用、保守、システム監査等)、情報システムの経費区分
〔概要〕
サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関して、その手続・手順に関する基本的な方針及び事項並びに政府内の各組織の役割等を定める体系的な政府の共通ルール。

改定履歴
改定年月日 改定箇所 改定内容
2020年3月31日 第1編、第2編、第3編、別紙1、用語集 政府重点プロジェクト、および一元的なプロジェクトの管理に関する記述を追加
第3編第2章 政府CIOによるレビューに関する記載を修正
第3編第4章、第5章、第8章、第9章 業務の継続の方針等の内容追記、目標復旧時点を追加
情報システムのデータバックアップと復旧に関する記載を追加
災害発生時に備えた訓練や教育活動等の記載を追加
第3編第2章、
第4章、第5章、第7章、第8章
個人情報保護を含む定常的なデータマネジメント活動の記載を追加
第3編第6章、第7章、第9章 民法改正に伴う修正(瑕疵担保責任→契約不適合責任)
第3編第4章 業務改善をサービス・業務改革に修正
第2編第2章 プロジェクト推進にあたって役割分担を見直せる実効的な体制の
確立について追記
2019年2月25日 第3編、別紙1、別紙2、別紙3、別紙4 ・デジタル・ガバメント実行計画の決定を受け、プロジェクト管理、予算要求、設計・開発、運用・保守、システム監査等のITマネジメントに係る全ての工程について、職員が主体的に行う活動や留意点を追加
・上記変更に伴い、ドキュメント構成を見直し、第4章及び第8章の見出し変更並びに第11章及び第12章を他の章に整理統合し、別紙5を追加
・上記変更に伴う関連個所の修正
第1編、第2編 ・第3編の変更に伴い、関連する箇所を修正
2018年3月30日 第1編 ・デジタル・ガバメント実行計画の決定を受けた標準ガイドラインの表題及び作成背景の変更、標準ガイドライン群の体系整理と決定手順等を追加
第2編 ・政府全体のITガバナンスの全体像について明確化、中長期計画、スキル認定、運用及び保守状況の把握並びにプロジェクトの検証について追加
2017年5月9日 第1編第2章 ・官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)の施行を受け、同法の基本的施策と標準ガイドラインの関係について追加
第1編第2章 ・標準ガイドライン及び実務手引書の見直し手順を追加
第1編第3章 ・適用対象を章に格上げし、標準ガイドラインの適用の状況等の確認を追加
別紙1 附則 ・別紙1の表題「関連する指針の廃止及び経過措置」を、今後の複数の改定に係る施行時期、特例、経過措置等を詳細に記載するため、「附則」に修正し、附則事項を追加
その他 ・「サイバーセキュリティ人材育成総合強化方針」に基づき、実施された内容(府省副CIO、各府省庁セキュリティ・IT人材確保・育成計画)の反映のほか、軽微な内容を修正
2014年12月3日 ・初版決定

第1編 総論

第1章 標準ガイドラインについて

1.背景及び目的

今や政府情報システムは、単なる行政事務処理上の道具ではなく、行政運営の中核を成す基盤として存在するに至っている。さらには、デジタル技術は社会構造の変革の強力なツールとなっており、これまでの延長線上での改善ではなく、デジタル技術が国民生活やビジネスモデルを根底から変える、新しい社会が到来している。

このような中、デジタル技術を徹底活用し、行政内部における行政サービスの利便性の向上並びに行政運営の効率性及び透明性の向上を実現するだけでなく、官民協働を軸として、行政サービスを改善し、デジタル社会に対応したデジタル・ガバメントを目指すことが求められている。

このデジタル・ガバメントへ変革していくためには、政府CIOを中心として、府省CIO及び府省副CIOそれぞれがリーダーシップを発揮し、「共通ルール」の下で、各府省及び政府全体のITガバナンスを強化し、価値を生み出すことが重要であり、サービス・業務の状況や政府情報システムに関する詳細な情報を逐次把握するとともに、サービスの向上、業務の効率化及び高度化、官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)の目的にもある情報システムに係る規格の整備及び互換性の確保、情報セキュリティを含む情報システムの運用リスクへの適切な対応等、具体的な取組を政府横断的に進める必要がある。

以上を踏まえ、IT基本法第26条第2項第3号、「世界最先端IT国家創造宣言」(平成25年6月14日閣議決定)等に基づき、サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理について、その手続・手順に関する基本的な方針及び事項並びに政府内の各組織の役割等を定める体系的な政府共通のルールとして、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」を策定する。


第2章 標準ガイドライン群の整備について

サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関しては、多岐の分野に渡っており、かつ、専門的な上、技術の進展が著しい。このため、標準的で整合的なルールの下、PMO及びPJMOが、十分に理解して、推進していくことがプロジェクトの成功にとって重要である。

このため、標準ガイドライン群の整備については、次のとおりとする。

1.体系

標準ガイドライン及びこれに関連する指針類等に係る文書体系は、次のとおりとする。これらの文書体系を標準ガイドライン群と総称する。

1) デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン

サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関して、その手続・手順に関する基本的な方針及び事項並びに政府内の各組織の役割等を定める体系的な政府の共通ルールである。「標準ガイドライン」と略称する。

2) デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン附属文書

標準ガイドラインの下位文書として、サービス・業務改革並びに政府情報システムの整備及び管理に直接関係する内容のうち、特定の分野に関する内容について、その手続・手順に関する基本的な方針及び事項並びに政府内の各組織の役割等を定める政府の共通ルールである。「標準ガイドライン附属文書」と略称する。

3) デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書

標準ガイドラインの下位文書として、標準ガイドラインの記載の趣旨、目的等を理解しやすくするため、逐条的な解説等を記載した参考文書である。「標準ガイドライン解説書」と略称する。

4) デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン実践ガイドブック

標準ガイドライン、標準ガイドライン附属文書、標準ガイドライン解説書の下位文書として、これまでに得られたノウハウや教訓等を盛り込んだ実践的な参考文書である。

5) 技術レポート

サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に係る特定の技術において、PJMOの各部門の対応を容易にし、又は政府全体で統一的に行うため、政府全体で取り組むべき課題に対する対応等をまとめた参考文書である。

6) その他関連文書

1)から5)までに掲げるもののほか、標準ガイドラインに関連する各種文書が体系下に含まれる。

2.整備に係る基本的な考え方

内閣官房(本ガイドラインにおいてIT総合戦略室を指す。)、総務省(本ガイドラインにおいて行政管理局を指す。)及び各府省は、サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関する指針類を作成し、又は改定するときは、指針類の体系的整備並びに整合性及び参照性の確保を図る観点から、次に掲げる事項に留意するものとする。

1) 標準ガイドライン群の整備について

(1) 内閣官房及び総務省は、標準ガイドライン群の体系下にある文書の整合性を確保すること。

(2) 内閣官房及び総務省は、標準ガイドライン群の体系下にある文書を効率的に管理するため、ナンバリングを付してリスト化し、Webサイトに公表すること。なお、公表することにより、その文書を作成した目的を達成することが著しく困難になるおそれが具体的にあるときは、非公表とすること。

(3) 内閣官房及び総務省は、「第3章2.適用の状況等の確認」の結果、デジタル・ガバメントに関する方針及び計画、政府情報システムを取り巻く技術の進歩、社会の動向等及びデジタル・ガバメント技術検討会議の意見を踏まえ、標準ガイドライン群を策定又は改定し、継続的に改善すること。その際、事例の蓄積・更新(入替え)をし、標準ガイドライン群を使用する担当者の理解の深化、利便性の向上等に資すること。また、改定履歴を付すること。

(4) 各府省は、標準ガイドライン及び標準ガイドライン附属文書と自府省のサービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関する指針類との整合性を確保すること。

2) 情報セキュリティ対策との関係について

(1) 内閣官房、総務省及び内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、標準ガイドライン群と政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群との整合性を確保すること。

(2) 各府省は、標準ガイドライン群と自府省の情報セキュリティポリシーとの整合性を確保すること。

3.策定又は改定手順

1) 基本的考え方

標準ガイドライン群を策定し、又は改定する手順についての基本的な考え方は、次の表のとおりとする。


ア 共通ルール(イの場合を除く。) イ アのうち軽微なもの ウ ア及びイ以外のもの
(1) 高度に技術的な要素が含まれるもの  デジタル・ガバメント技術検討会議の議論を経、又は提案を受けて、CIO連絡会議において決定する。  CIO連絡会議の構成員に確認したのち、内閣官房及び総務省が職権にて新旧対照表で修正する。  デジタル・ガバメント技術検討会議の議論を経、又は提案を受けて、各文書を所管する組織が決定する。
(2) (1)以外のもの  CIO連絡会議において決定する。  同上  各文書を所管する組織が決定する。

表 1-1 標準ガイドライン群策定等手順


2) デジタル・ガバメント技術検討会議の議論又は提案

標準ガイドライン群の策定又は改定をする場合であって、高度に技術的な要素が含まれるときは、デジタル・ガバメント技術検討会議の議論を経るものとする。また、デジタル・ガバメント技術検討会議は、高度に技術的な要素が含まれる内容について、標準ガイドライン若しくは標準ガイドライン附属文書の策定又は改定にあってはその案をCIO連絡会議に、その他の文書の決定又は改定にあってはその案を当該文書を所管する組織に、それぞれ提案することができる。

3) CIO連絡会議の決定

CIO連絡会議において、標準ガイドライン若しくは標準ガイドライン附属文書を策定し、又は改定しようとするときは、内閣官房及び総務省は、検討の内容、策定、改定の実施予定時期等を各府省に提示するとともに、その内容を踏まえた十分な調整時間を確保するよう努めるものとする。

4) 各府省及び政府CIO補佐官による改善の提案

各府省及び政府CIO補佐官は、内閣官房及び総務省に対し、標準ガイドライン群の改善について提案することができる。この場合において、政府CIO補佐官が提案するときは、デジタル・ガバメント技術検討会議を通じて行うものとする。

4.周知及び説明

内閣官房及び総務省は、標準ガイドライン群の適用及び活用を一層推進するため、その周知及び説明に努めるものとする。

第3章 適用

標準ガイドライン及び標準ガイドライン附属文書の適用については、次のとおりとする。

1.適用対象

標準ガイドラインは、次に掲げる行政機関において所管しているサービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関する事項に適用するものとする。標準ガイドライン附属文書の適用対象は、それぞれに定めるところによる。

ただし、政府CIOの下に行う政府全体のITガバナンスによって、当該政府情報システムを利用する業務の遂行に著しい支障が具体的に生ずるおそれがあると府省CIOが認める治安、外交、安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障すること)等に関する政府情報システムであって、府省CIOが申し出て、政府CIOと協議の結果、政府CIOが指定したものについては、次の(1)~(4)に掲げる内容を除き適用除外とする。

(1) 「標準ガイドライン第1編第3章1」(適用対象)

(2) 「標準ガイドライン第2編第6章1」(予算)

(3) 「標準ガイドライン別紙1」

(4) 「標準ガイドライン別紙2」

なお、適用除外の指定を受けた政府情報システムにおいても、標準ガイドラインを参考に、サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理を実施することが望ましい。

〔行政機関〕

法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法(平成11年法律第89号)第49条第1項若しくは第2項に規定する機関、国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項に規定する機関又はこれらに置かれる機関

2.適用の状況等の確認

内閣官房及び総務省は、サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理の実態を的確に把握するため、少なくとも年1回、各府省の協力を得て、標準ガイドライン群の適用及び活用の状況を確認するものとする。

第4章 用語

標準ガイドライン群における用語の意義は、標準ガイドライン群用語集及び次に掲げる留意事項のとおりとする。ただし、標準ガイドライン群各文書中に用語集と異なる定義をするときは、当該文書中に、標準ガイドライン群用語集と異なる定義であることが明確となるように記載するものとする。なお、文中に参照しやすいよう注記等にて用語集と同様の定義を記載する場合がある。

標準ガイドライン群用語集及び標準ガイドライン群各文書中に用語の定義をしていないものは一般的な用語の意義を用いるものとする。

1.用語の定義に関する留意事項

1) プロジェクト

標準ガイドライン群におけるプロジェクトの最小単位は、政府情報システムを整備して行うサービス・業務とし、その期間を当該政府情報システムのライフサイクル期間とすることを基本とする。

なお、作業の管理を適正に行うために一つのプロジェクトを階層化し、それぞれをサブプロジェクトとして扱うことができる。